明治初期の建物に情報拠点 2017/04/13の信濃毎日新聞に掲載されました(2017/4/14)


明治初期の建物に情報拠点 2017/04/13の信濃毎日新聞に掲載されました

観光客が喜ぶ稲荷山へ前進
千曲の有志の会もてなしに力
明治初期の建物に情報拠点

 古い町並みが残る千曲市稲荷山
で、有志らでつくる一般社団法人「稲荷山町くらしと心を育む会」が観光客のもてなしに力を入れている。明治初期の建物を生かして拠点施設「稲荷山まち歩き情報センター」を整備。宿場町としてにぎわった歴史を伝える絵本風の冊子も作った。2014年に国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されて以降、訪れる人が増えており、魅力を伝えながら地域づくりを進める狙いだ。
 育む会は12年、重伝建選定に向けて地域の歴史や文化を見直し、選定への機運を高めようと結成。地元を紹介する冊子作りや町歩きイベントをしてきた。稲荷山地区は14年、重伝建となったが、観光客らが訪れても立ち寄る拠点がないことから情報センターの整備に踏み切った。
 センターは、育む会専務理事の宮坂勝彦さん(69)が所有する旧料亭を利用し、昨年10月に完成。1階土間など約100平方メートルにいろりを設け、飲料の自動販売機を置いた。案内の冊子を並べ、訪れた人が休憩したり情報を集めたりできるようにした。
 土間に面した部屋はステージにも使え、講演会や音楽など住民の交流の場にしてもらおう、と構想する。ほぼ毎日、午前9時~午後5時に開放している。
 3月に完成した絵本風の冊子は、いなりずしを模したキャラクター「いなりーくん」が商店の「でっち」で、「番頭さん」「ご隠居さん」が登場する。善光寺街道の宿場町として栄えた江戸中期から、1847年の善光寺地震の際に火災で焼失し、その後は燃えにくい土蔵の商家が増えてにぎわった明治時代、鉄道の普及で徐々に衰退していった現在に至る歴史も紹介した。
 B5判32町で全面カラー。千部作り、近くの池田小と更埴西中には各クラスにI冊ずつ寄贈した。今後、イベントの参加者らに配る予定だ。
 稲荷山地区では近年、複数の市民団体などが町並みを生かそうとそれぞれ活動しており、空き家を改装しておやきを販売する店を開いたり、催しを企画したりしている。宮坂さんは「稲荷山の町は商人
が力を合わせてつくった町。当時を振り返り、今後の町づくりに生かすきっかけにしたい」と話している。冊子などの問い合わせは宮坂さん(TEL 090・4715・3981)へ。

写真:いろりなどがある稲荷山まち歩き情報センター」の内部

歴史伝える冊子も作る
写真:「稲荷山町くらしと心を育む会」が作った稲荷山の歴史を伝える絵本風の冊子





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